ほしなみ☆ろぐ

茨城県取手市のピアノの先生です。このブログは2018年5月に移転しました

芸術その魅力「現代音楽入門講座」第2回(全12回)

   

NHKラジオ第2 毎週水曜 夜8:30-9:00放送『現代音楽入門講座』 講師は、現代音楽作曲家の薮田翔一氏です。

NHKカルチャーラジオ ホームページ ▶http://www4.nhk.or.jp/P1928/

現代音楽作曲家 薮田翔一 オフィシャルサイト ▶http://shoichi-yabuta.jp/

第2回【ロマン派音楽の終焉】

ロマン派の音楽は今日最も演奏の機会が多く、日常生活で耳にするほとんどの音楽のベースになっている。ロマン派の音楽こそがスタンダードな「音楽」であるとさえ思われているが

それはなぜか?

その答えは (1)歌いやすいメロディー (2)調性の音楽

という、ロマン派の音楽の特徴にあります。

「歌いやすい音楽の頂点」であるロマン派の音楽

歌いやすいメロディーの例として挙がったのは、チャイコフスキー作曲「くるみわり人形」

(紹介されたのが「くるみわり人形」の中のどの曲だったか失念したため「金平糖の踊り」を貼りました)

自然に口ずさんでしまうくらい、歌いやすい曲ですよね。楽器の演奏はできなくても歌は誰でも歌えて、多くの人に受け入れられる。

例えば日用品などで普及しているものは、人間にとって機能的で使い易いものであるのと同じで、ロマン派の音楽は人間にとって聴きやすい・歌いやすい音楽だから普及している。

「調性の音楽の頂点」であるロマン派の音楽

「調性」は、ハ長調とかト長調とかのことです。

一定ルールで構成された音どうしのハーモニーは調和を感じ、これから外れた音は不調和を感じます。ドミソをじゃーんと鳴らしたら違和感がないけど、ドレミを鳴らしたらおかしいと感じる、みたいなやつですね。

この調性の音楽(特にロマン派の音楽)が今は普及しているけれど、大きな歴史の中で見たときには、調性の音楽こそ音楽であるというわけではなく、むしろ無調の音楽がもともとの音楽でした。

一応音楽史の流れを補足すると、

  • 16世紀ごろまで:中世音楽~ルネサンス音楽へ‥宗教音楽。グレゴリオ聖歌とか
  • ~18世紀半ばまで:バロック音楽‥ヘンデル、バッハとか
  • ~19世紀初頭(バロックとロマンの間):古典派音楽‥ベートーベンとか
  • 19世紀:ロマン派音楽‥チャイコフスキー、シューマンとか
  • 20世紀~:近代・現代音楽‥ストラヴィンスキーとか

となります。ルネサンス以前の音楽は、現在のような調性や、音の長さの決まりなどはありませんでした。

歴史の中でクラシック音楽は、調性の音楽を積み上げ確立してきました。

調性の音楽は、感情を表現するために向いているし、大変覚えやすい音楽である。たとえば「くるみわり人形」、誰もが聴いたことがあるなと思い当たるということは、記憶に残りやすい曲だというわけです。

ロマン派から近代・現代音楽へ

「歌いやすい」「覚えやすい」人間にとって適した音楽は、ロマン派でそのピークを迎えました。

次の近代・現代音楽になると今度は徐々に、調性が揺らいできます(それまで積み上げたものを壊して新時代へ)

こちらの曲は、チャイコフスキーと同じ時代に作曲されたものですが、「歌いやすい」かどうか考えながら聞いてみると、くるみわり人形とは全然違うことがわかります。


ドビュッシー作曲 牧神の午後への前奏曲

メロディーの美しさという感じではなくて雰囲気で聴くような音楽です。新しい音楽により、私たちの音楽の「聴き方」が変化することがわかります。

作曲家はメロディーを覚えてもらいたいと思って作曲しているわけではなく
”音楽=メロディー”から考えを変えられると、聴き方が大きく広がる

という薮田氏の言葉が、今回一番心に残りました。

また、ドビュッシーは新しい時代への変遷の最中に活躍した作曲家で、先日書いたばかりの美術展「北斎とジャポニスム」と、この「現代音楽入門講座」がリンクして、より興味深く聴くことが出来ました(*^-^*)

作曲家と楽譜

今回は最後に『作曲家と楽譜』というテーマのお話がありました。これはこれで書くと長くなりそうなので印象深かったところを箇条書きにします。

  • 昔はCDなどなかったので楽譜の残っていない音楽も多い。残っていたらすごい名曲が聴けたかも
  • 現代音楽の変わった演奏方法を楽譜にどのように表現するか(奏法が想像できる記譜法でなければならない)
  • 手書き楽譜は、音だけで理解できないことを視覚で理解できる
  • 本来の作曲は天から音が降ってきたものを書き留めるのではなく音を構築すること
  • 楽譜から読み解く(解釈)=作曲家が思いつかなかったことが演奏者からもたらされる可能性

 

楽譜って、〇〇版 などといって、同じ曲なのにたくさんのエディションが出ています。それは解釈によるものであり、楽譜の書き方も様々です。綺麗な楽譜は弾く前から音楽が想像しやすく、演奏しやすく、宝物みたいに大切で持っているだけでわくわくするものですよね(*^-^*)

作曲家にとっては、演奏するもの以上に 自分自身の一部というか自分自身そのものでしょう。

 

次回第3回~6回までの4回は、20世紀の音楽です。1週間あっというまなので、すでに放送回からはブログ遅れてますが、ぼちぼち書いていきます。

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