ほしなみ☆ろぐ

茨城県取手市のピアノの先生です。このブログは2018年5月に移転しました

芸術その魅力「現代音楽入門講座」第6回(全12回)

   

NHKラジオ第2 毎週水曜 夜8:30-9:00放送『現代音楽入門講座』 講師は、現代音楽作曲家の薮田翔一氏です。

NHKカルチャーラジオ ホームページ ▶http://www4.nhk.or.jp/P1928/

現代音楽作曲家 薮田翔一 オフィシャルサイト ▶http://shoichi-yabuta.jp/

第6回【20世紀後半の現代音楽(2)】

作曲家は [ルールを作る]→[どんどんルールを増やす]→[その中で作れる音楽に限界を感じたらルールを壊す]→[新しいルールを探す] というふうに、新しい音楽を模索し創造し追求していきます。

セリエル音楽もやはり限界に達した1970年代後半、コンピューターの発達が大きなきっかけとなり、新しい流れが生まれました。

コンピューターで音の倍音を分析し、それを作曲に生かす「スペクトル楽派」
さらに、

短い旋律やリズムパターンの繰り返しの中で徐々に変化させていく「ミニマル・ミュージック」が世に出ることになります。

◆ジェラール・グリゼー作曲《音響空間》より 18人の奏者のための「パルシェル」

スペクトル楽派を代表する、グリゼーの曲。もはやメロディーの音楽ともリズムの音楽とも概念が違いますね。

薮田氏は『音響空間はメロディーが横に流れるのではなく、教会のような空間に音が上に舞い上がっているイメージの作品』と紹介していて、教会のような空間 てわかりやすいイメージだなと思いました。

倍音ってなに?

音の高さというのは、周波数で決まります。〇〇ヘルツというやつですね。ピアノの調律で、ラを442Hzにするか440Hzにするか、なんていう話がよくあります。

この基本となる周波数の他に、その2倍,3倍,…と整数倍の周波数の振動がいくつも生じていて、これを倍音といいます。

講座の中では、薮田氏がピアノの音で聴かせてくださっていましたが、ラジオでは残念ながらうまく音を拾えないようでした。

でも、誰でもピアノで簡単に聴くことができます。この表を↓わざわざ作りましたので見てください!

倍音

  1. 一番最初のドの音を少し強めに弾いて、そのまま伸ばしておきます
  2. すると、ドより右側に書いてある音が聴こえてきます(特にソが聴こえやすい)

※電子ピアノではできません

ここに書いた倍音は第12倍音までですが、もっと上の音まで続きます。人間には聞こえない音まで鳴っています。

楽器の音は、倍音が複雑に混じり合っています。楽器によってその倍音構造が違います。コンピューターである楽器の音を作るには、倍音構造を真似て、ピアノっぽい音とかヴァイオリンっぽい音とかを作っています。電子ピアノよりもアコースティックピアノを弾いてほしいな~というのも、納得できるかと思います。

この「パルシェル」は、一番初めの音が、コントラバスの最低音「ミ」ではじまります。その倍音である「シ」が聴こえてきます。

 

◆スティーヴ・ライヒ「18人の音楽家のための音楽」

先のグリゼーの18人で演奏する曲に合わせて、こちらも18人の曲を選んだそうです(^O^)同じ18人の演奏でも全く違う音楽。

セリエル音楽が反復を徹底的に避けたのに対して、こちらはひたすら繰り返すミニマル・ミュージックです。

 

◆リゲティ作曲「アトモスフェール」

リゲティは、かなり有名な作曲家。現代音楽の中では演奏機会もとても多いです。「アトモスフェール」は映画『2001年宇宙の旅』で使用された曲です。

こちらの特徴は、マイクロポリフォニーという作曲技法。

普通はオーケストラの中の、第1ヴァイオリンというパートの人は複数人で同じ音を弾きます。マイクロポリフォニーでは、複数人がそれぞれ別の楽譜を演奏します。そのため弦楽器だけでも何十パートもあり、楽譜が大変なことに‥‥。

オケの魅力は数十人で同じことをするアンサンブルですから、それとは違うことを探し、《各声部を細かく分けて演奏をしたらどういう音楽ができるだろうか》と生み出されたのがこの技法だとのお話でした。

リゲティは、雲の音楽 と言われます。 空に浮かぶ雲は、一つ一つの水滴が集まって動いています。その微細な動きで全体の形が変化していく。

こういう神秘的な音楽って、ホラー映画なんかでも聴く感じ‥と思った方、そうです。リゲティ作曲「ロンターノ」という曲は映画『シャイニング』で使われていますよ。

◆キャシー・バーベリアン作曲「ストリプソディ」

「ストリップ strip」=「漫画のコマ」(コミック・ストリップ)の意味。
この曲の楽譜は、あの5本の線に音符が書いてあるものではなく、『グラフィック・スコア』という楽譜です。

グラフィック・スコアとは

日本語だったら、図形楽譜。その名の通り、イラストみたいな設計図みたいな、なんかそんな感じのものが書かれています。

徹底的に楽譜をきちんと書くセリエル音楽とは反対に、楽譜を書かないジョンケージ。
その次には、楽譜は書くが音符は書かない、図形楽譜ができました。

グラフィック・スコアは、作曲家ごとに書き方が違います。

「ストリプソディ」は、4コマ漫画のようなイラストが描かれていますので、聴く方もイラストを見て、想像して聴くと楽しいでしょう。または逆に、音楽を聴いて様々なストーリーを想像するのもよいでしょうね。

キャシー・バーベリアンは作曲家ではなく声楽家で、ルチアーノ・ベリオの妻です。(ベリオは、前回第5回の講義で「シンフォニア」という、色々な曲の引用で作られた作品が紹介されました)

ベリオがこの素晴らしい声楽家に影響を受けないはずがなく、ベリオの代表作「セクエンツァ」シリーズも、素晴らしい演奏家がいたからこそ出来た作品である。

シューマンの妻クララもそうであったように、身近な演奏者が作曲家に与える影響は大きいので、作曲家の交友関係から音楽を紐解くのも面白いかもしれません。とのお話でした。

 

今回はあとひとつ、◆サルバトーレ・シャリーノ作曲のオペラ「ルーチ・ミーエ・トラディリーチ Luci mie traditrici」より「インテルメッツォⅡ」も紹介されたのですが、音源が見つからなかったのと、内容が多すぎて書き疲れたので(すみません💦)割愛させていただきます(;^_^A

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