ほしなみ☆ろぐ

茨城県取手市のピアノの先生です。このブログは2018年5月に移転しました

芸術その魅力「現代音楽入門講座」第10回(全12回)

   

NHKラジオ第2 毎週水曜 夜8:30-9:00放送『現代音楽入門講座』 講師は、現代音楽作曲家の薮田翔一氏です。

NHKカルチャーラジオ ホームページ ▶http://www4.nhk.or.jp/P1928/

現代音楽作曲家 薮田翔一 オフィシャルサイト ▶http://shoichi-yabuta.jp/

第10回【現代音楽と他の芸術、表現とのコラボレーションの可能性について】

第10回のテーマについて、NHKカルチャーラジオホームページより引用します。

現代音楽の作曲家は様々な分野の芸術、表現とコラボレーションしてきました。

映像作家や現代美術家、ダンサーや日本舞踊、歌舞伎役者。またコンサートホールではなく、
美術館や倉庫、屋外で演奏された作品もあります。他分野との共演は相乗効果により、新たな発想も生まれます。

講師の藪田翔一さんの作品を紹介しながら、現代音楽と他芸術との共同制作の可能性について探っていきます。

コラボレーションにおいてはどのようなことに考慮して作曲するのか

現代音楽の作曲家は、まだ誰も聴いたことのない新しい音楽をつくることを日々探求していて、それは難しいけれど自由でもある。

しかし、他の分野の方とのコラボレーションの際には ・何を求められているのか? ・コラボする方の芸術と合っているか? なども大事になってきて、自由ではなくなる。

また、どのような場所で・どのような聴衆に聴いてもらえるのか、ということも大切である。

どのような場所で演奏されるか

(通常はアコースティックに適したクラシック演奏用のホールを想定して作曲している)

場所によっては、作曲家の細かいニュアンスが伝わらない可能性があるので、それを考慮して作る必要がある。

  • 残響のない場所、または凄くある場所
  • 演奏中に人が出入りするような場所や、美術館など
  • コンサートの演奏というよりも、パフォーマンス的なもの
  • 野外、車道などのそばで、演奏の妨げになるような音がする場所

など、様々な場所や状況での演奏になるかもしれない。

たとえば上にあげた中で、残響が全然ない場所であったり、町の喧騒や人の声がするような場所であれば、ピアニッシモは聴き取れないだろうと想定し、繊細な音楽にしないよう考慮する。

 

聴衆の興味はどこにあるのか

(通常は「ホールに音楽を聴きに来る」聴衆を想定して作っている)

音楽を聴く目的で来る方と、他の分野を見に来る方とでは、音に対する意識や聴き方が違う。特にピアニッシモは聴衆が緊張感を共有することで、はじめてピアニッシモの美しい音がうまれます。(演奏される方、コンサートに行かれる方は体感していますよね^^)

確かに音の聴き方は人によってかなり違いがあります。クラシックを聴きなれている人は、「こんな感じ」「こんな雰囲気」と感覚的に聴くというよりも、

例えば声部が分かれたらそれを声部ごとにすべて細かく追いながら、同時にそれぞれを統合してハーモニーを聴くというようなことをしています。(たぶん)

なんとなくでは聴き逃してしまうような音というのもありますし、また、演奏経験があると、身体の動きや呼吸も演奏者と一体となって、緊張感や解放感を感じたりします。

 

薮田氏の他分野とのコラボレーション作品

全部で6曲紹介されました。

◆flowⅢ  映像/アレック・ヤニツキ  作曲/薮田翔一

兵庫県たつの市のイベント「龍野アートプロジェクト」での作品。(薮田氏はたつの市のご出身)龍野アートプロジェクト3周年を記念したプレイベントで、芸術ジャンルを横断した「現代音楽と現代美術の響演」ということで発表されたようです。

こちらの動画、9分くらいから薮田氏が登場します。

「龍野アートプロジェクト2014 日波現代芸術祭「流れ Flow」」 from CURATORS TV on Vimeo.

ポーランドのアーティスト、アレック・ヤニツキのビデオ作品「ブラックアウト」に音楽をつけた作品。

「ブラックアウト」は、地図が10分かけて何重にも重なっていく作品で、最初は白い画面に地図があらわれ、10分かけ真っ黒になっていくそうです。
そこで薮田氏は、ピアノのトリルを際低音から10分間かけて最高音まで持続させることにしました。ということです。

会場は醤油蔵。真ん中にステージがあり、周りに客席を配置したそうです。

 

◆(無題)インスタレーション作品のための音源

スペイン在住の現代美術家、山口敏郎氏とのコラボレーション(インスタレーション作品の音源)

1週間かけ山口敏郎氏が作品を設置していく中で、議論を交わしお互いの作品を見ながら、作っていったそうです。

こちらも醤油の蔵が会場。マルチチャンネルの複数のスピーカーを設置し、その中を歩きながら聴くというスタイル。

花のようなものが暗闇に何百本も設置され、ライトが色を変えながらゆっくりと点灯していく。花が開く音を、自分の口を開ける音を加工し6種類つくった。
山口さんの作品は母体的な要素を含んでいるということで、胎内を思わせるような音響にしたそうです。

 

◆遠方より来る舟 より「相生の松」

日本舞踊・尺八・ピアノのための曲。音楽が前面に出るのではなく、舞が音楽でさらにひきだせるようなものをめざし作曲した。舞をイメージして聴いてください。

という紹介でした。音源はなかったのですが、ピアノソロのための『住吉の松』を貼らせていただきます。美しい響きの曲です。

先日行ったシンポジウム・コンサートで聴いた、松下功作曲《海へ、そして夢に》も日本舞踊とコラボしていましたので、イメージしやすかったです^^

 

◆声流(せいりゅう)

絵画を展示するスペースのために作曲した作品。絵画のためではなく、スペース全てが作品というコンセプト。人の声を音程別に様々なニュアンスで録音し合成して作ったそうです。

 

◆(無題)彫刻の展示のために作った音源

指向性をもったスピーカーを使用し、その彫刻の前に近づいたときにだけ聴こえる(常に音は再生されている)ようにしている。

 

◆(無題)映像作品とのコラボレーション

姫路城のプロジェクションマッピングに合わせ作曲した作品。たんなる映像を超え、科学とのコラボ。

 

と、様々なコラボレーションが生まれていて、ほかに、元々作っておくのではなく、音楽を聴きながら即興でパフォーマンスをするということなどもあるとのお話でした。また、コラボレーション作品を作る際に大切にしていることは、次の2点だということでした。

コラボレーションする際に大切にしていること
・普段作曲している要素はのこしつつ、ひとりではできいないものをつくる
・コラボで得たアイデアを音楽だけの作品にも生かせるようにする

 

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