『うたとピアノの絵本』効果的な4つの事例&2つの注意点
呉 暁(ご あき)さんの『うたとピアノの絵本』
タイトルの通りの絵本みたいな楽譜。全ページに大きな絵が描かれ、音符も大きく手書き風です。
教室を始めて間もないころから使っていますが、最近またこの楽譜の良さを再認識しています。レッスンの曲にプラスして、おうちでの練習用に使うのもおすすめです。
おもしろい曲がたくさんあり、その中でも私が大好きなのが《タコはあしが8ぽん~♪》という曲(^O^)
みぎて・ひだりて・りょうての3冊があります
1巻は『みぎて』だけで弾きます。真ん中のド~ソまで。(上へ5音)
2巻は『ひだりて』だけで弾きます。真ん中のド~ファまで。(下へ5音)
3巻は『りょうて』で弾きます。1,2巻で出てきた音を使います。
3巻の両手は、左右同時に弾くのではなく交互に弾きます。(左が弾くときは右はお休み、右が弾くときは左がお休み)
全曲にうたの歌詞がついていて、リズムやフレージングもうたいながら自然に弾くことができるので、自分の力でどんどん楽譜を読んで弾けるのが楽しい☆
①みぎて②ひだりてを 順番に使う?同時に使う?
1巻→2巻と順番に使う場合、1冊終わるまでずっと右手だけになるので、2巻を同時に進めるのも一案。
注意したいのは、ト音記号の第1線(ミ)とヘ音記号の第5線(ラ)の区別がつきにくい子もいるので、2冊いちどに始めるとこんがらがっちゃうかも。
・ドシラソファ…と下に歌えない
・ひらがながあまり読めない
という生徒には、まず1巻を始めてみて、できそうなら2巻も‥のほうが安心かと思います。
私は順番に使うのですが、わりと早く進む子はそれで大丈夫だし、なかなか進まない子は左手の練習は他のものでやっています。
『うたとピアノの絵本』が効果的な4つの事例
どう使うのが効果的なのかは生徒それぞれに違うと思うので、ここでは私がこれまでに「使ってよかった!」と思った4パターンを書きますね。
事例1:両手弾きはできているけれど、歌いながら弾けない
歌詞がせっかくついていても、無視している状態って、ありませんか。音符を追うのでせいいっぱいになってしまう。
それに、こういうことも多い。
- 歌詞の意味を説明しなければならない(普段使わない言葉がけっこうある)
- 文字が小さくて読みにくい
- 4小節以上あると、ひらがなをやっと読める年齢の子には大変
《まずピアノを弾かずにうたってから→弾きながらうたう》のも、とてもよいとは思うのですが、『うたとピアノの絵本』だったら、すぐに誰でもうたいながら弾くことができます。
事例2:左手で弾くことがイヤイヤになって、停滞してしまう
上手に弾ける右手ばっかり弾きたがる場合ですね
真ん中のドから両手で弾いていく楽譜を使っていると、左手も弾かないと合格にならないので、停滞しちゃいます。
先生は左手も弾いてもらおうと、なだめたりすかしたり‥。「できないこと」なんて、やりたくはないのはわかるけど、困りますよね(;^^A
右手が弾けたら合格できる1巻で、サクサクたのしく進んで
2巻で左手の抵抗感をなくす
2巻の左手もシンプルなので、どんどん合格できます。
事例3:知っている曲を弾きたい / (低年齢等で)耳から入りたい
ピアノのレッスンって、基本的には「知らない曲」を練習していくものです。
当然知らない曲の方が圧倒的に多く、それを知ることも楽しみであり勉強。楽譜から読みとって弾けるようになるためには、そのほうがよいこと。
また、「知っている曲」も、聴いただけでは細部まではわかっていないことがほとんどです。
だから、基本は知らない曲をレッスンでやっていきます。
でも、(特にお子さんは)時々は 聴いたことがある曲♪歌える曲♪も弾けると楽しい(#^^#)
知っている曲だと俄然やる気が出て、いつも練習している曲よりずっと難しいのに、超練習してすぐに弾けてしまったりします。
そういう両者の望みをかなえるには、知っている曲をレッスンするしかないの?いえいえ、CDを使うのはどうでしょう。
CDで聴いているうたが、自分で弾けるとなったら、わくわくしますね。
事例4:「左手だけ」の練習のため、2巻だけ使う
教則本をけっこう順調に進んでいく生徒でも(そういう子ほど?)片手での部分練習をたいしてやらないまま進んで行けてしまいます。
音の数も少ない初級くらいまでは、なんとなく弾いていても一応形になるけれど、テンポが速くなったり複雑な動きになると大変になってくるので、
左手だけ取り出して練習することは、やはりやっておいたほうがいいと思います。
でも曲の一部分をしっかり練習できるようになるのって、3年生くらいからではないでしょうか。家で練習する時なんか、ますますやってないだろうなあ~
『うたとピアノの絵本』②ひだりて だったら、お家での練習でも左手の練習がかならずできるのがいいですね。
2つの注意点
読譜やリズム練習のページがない
この楽譜は「曲集」です。
はじめのページから、ドレミ、ドレミ、という曲になっています。
もちろんこれでいきなり弾くこともできますので、弾きながら音符の読み方等を教えて行っても構わないけれど、他の教則本やワークを進めながら使うといいですね。
文字がまだ読めないくらいの子だったら、これを軸にしてもよさそうだけど^^
リズムも説明がないので、どのみち他でちゃんとやる必要ありです。私は同じ呉暁さんの『リズムとソルフェージュ』もよく使っています。
指番号がない
指番号がなくても弾ける曲しかないんですけど、他の本を併用している場合、生徒が混乱することがあります。
宿題を出すときなどに、親指の場所がちゃんとわかっているか、チェックしながら使いましょう。
この楽譜のシリーズ
私はまだ使ったことがないのですけど、連弾の本などもあります。
こちらでうたとピアノの絵本の一覧が見られます♪
3巻まで修了したら、次は『アキピアノ教本』へ入れるようになっています。1年生くらいからピアノをはじめる子には、アキピアノ教本の1巻から入るのもよいですよ。
アキピアノのほうはテクニックの練習っぽいものもあり、曲も素敵でバランスがよく気に入ってます。